この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第14章 消去と諦め
そして特にきっかけもなく、右手の人差し指が画面左下のメニュー画面を開いて
《 消去 》と書かれたところをタップした。
《 連絡先を消去しますか 》
消去か、キャンセルか
選択画面が現れる。
これを消せば啓輔との関係は完全に終わりを迎える。
別れた後もいいお友達でいましょうとか、そういう付き合いは苦手だから。
だからこれで──全部を終わらせる。それは今までの彼氏も同じだった。
…でも今回はそれだけじゃない。
「……」
これを消すということは、私の中のひとつの諦めを決定付ける。
いつか誰かと結婚するとか、家庭を持つとか、世の女性が憧れるようなときめきの未来を諦めるということ。
だって私にはその資格がないから。
私には何かが欠けていて…まともな恋愛ができないと十分に思い知ったから。
もういい加減、疲れたの。
だから私はこの連絡先を消して、もう何も期待せず仕事に打ち込んで生きる。
これがそのための第一歩──。
「──…せ…ん、ぱい…」
「……」
「おはよう…ございます」