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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第15章 ドレスコード
ただ正直に言うと、私だって動揺している。
それを悟られないように平静を装っているけれど、グラスに添えた指は緊張で冷たくなっていた。
顔だけはポカポカと熱い──のは、ワインを飲んでいるせいだろうけど。
“ 藤堂さんは…知っているってこと? 私と葉川くんの関係を ”
誤算だ。
──いいえ、周りにバレるのは時間の問題だった。
葉川くんはたとえ事務所であっても、私への態度を変えないし…。
しばらく海外に行っていて不在だった藤堂さんだが、私たちのことを勘づいたかもしれない。
…問題は
「私と葉川くん…。藤堂さんから見て、何か気になることでもありましたか」
どこまでバレているのか。
カマをかけるような言い方で、私は藤堂さんに聞き返した。
真実は知られたくない。
職場の後輩とセフレも同然の関係だなんて、上司に知られるメリットなんてないからね。
余計な失言はしないよう、私は慎重だった。