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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第15章 ドレスコード
私は冷蔵庫から水を出してコップに注ぎ、ソファにもたれ掛かる藤堂さんに差し出した。
彼はそれを一気に喉に流し込む。
続いて彼からジャケットを脱がせて、クローゼットにかけておいた。
我ながら気のまわる社員だと思う。
“ さて…私はそろそろ帰るか ”
パーティー参加者のために手配された部屋だが、何をどう説明したのか……私は藤堂さんと同室の扱いになっていた。
後輩だけじゃなく上司とまで間違いを起こすのは御免こうむりたいので
私は終電に間に合うようにとっとと帰ります。
「では、私はこれで」
「ああ…」
「明日も仕事なんですからね? 今日は早く寝て、しっかり回復してから出勤をお願いします」
「わかってる」
自分のバッグを持って、ノースリーブでむき出しの腕を隠すためにストールを羽織り、私は部屋を出ていこうと──
すると
急に藤堂さんがソファから立ち上がり、壁に手をついてフラフラと歩き出した。
「藤堂さん? どうかしました?」
「顔を洗う…」
そうは言うけれど足取りが危なっかしい。
頼むからオープン前の高級ホテルの部屋を吐いて汚さないでくださいねと、私は気が気でなかった。