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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第16章 汗と横顔
六月中旬。とある芝生公園と、その周りの散策コースで開催されているリレーマラソン。
マラソンが趣味の藤堂さんが事務所の人間を引き連れて参加するのは毎年のことで、私が走るのも六年目。
今年で…終止符をうつ予定だったのに。
いいえ、確かに私は断ったのよ。
なのに勝手に登録されて、諦めない藤堂さんに頼み込まれてまんまと連れられてきた。
「ハァっ…ハァっ…」
起伏の激しいコースを走りつつ、脳内作文で毒づく私。
何人かにぬかされたけど気にしない。
急な下り坂から上り坂に変化するにつれて苦しくなっていく胸を意識しないためにも、脳内作文は有効だった。
このコースは一周が2㎞ほど。
チームで襷を繋ぎながらこれを20周走る。チームの編成は何人でもいいけど…だいたい四人~七人くらい。
今日の私たちは、藤堂さんと穂花、葉川くんとバイトくんを入れた五人チーム。
私たちのチームで普段から走っているのは藤堂さんだけ。そもそも良い記録を狙っているわけじゃない藤堂さんは「皆で参加することに意味がある」と言っている。