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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第17章 家族ほど面倒なものはありません
本当は、けっこう前から…惚れていた
「…私は君に惚れてるわ」
「──…」
「不毛だってわかっていても、…っ…惹かれたのよ」
って、……やっぱり声に出したから
こらえていた涙まで、零れるのを抑えられなくて。
だって悲しいじゃない。
こんなに惹かれているのに……彼は絶対に手が届かない男で
誰のものにもならない彼の、その理由は想像以上に誠実だったから、責める手段がない。
始まる前からゴールのない恋なんて、ただただ虚しいだけなんだから。
“ もう十年、若ければ……この虚しさを感じることもなかったのかしら ”
もし私が…後先を考えないような若くて純粋な女だったら、なりふり構わず彼の腕にしがみついただろうに──。
「馬鹿よね…。自分から…っ…知ろうとしたのに」
「……」
「君を知れば知るほど…好きになるのに…!!」
顔を覆って嗚咽を呑む
そんな私の両手が──
「葉川、く──…ッ」
「──…なら貴女は、僕のものです」
私の両手首を片手で捕らえた葉川くんに、引き剥がされた。
隠していた涙を真正面から見つめられる。
二人の顔が近くて、このままキスをされるのかと思って
私は目を閉じた。
すると不意に掴まれた手を引かれて、私の身体は彼の胸に倒れる。
彼は片腕を私の背中に回して、力強く──そして微かに震えながら私を抱きしめた。
──