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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第19章 優先席は彼の席
「それにしても私が食後に珈琲を頼むことを知っていたのね」
「はい。先輩はあの時、ここで昼食後に珈琲を飲まれていたので」
「…前に君と来たことあった?」
「いえ、一緒にというわけではないですが」
「……ああ、そうだったわね」
葉川くんの言葉で思い出す。
このカフェがオープンして間もなく私たちはここで出会っていた事を。
正確には、出会ったとは言い難い。
私と穂花の会話を盗み聞きした葉川くんと、一度も顔を合わせずに立ち去った私だ。
「確認だけど…、あの時点では、私が藤堂事務所の人間だって知らなかったのよね?」
「…フフ、さぁ、どうだと思いますか?」
念のため聞いてみたら答えをはぐらかされた。
だが私が「怒るわよ」と声色を低くすると、葉川くんはすぐに白状した。
「冗談です。もちろん知りませんでした。だから事務所で先輩に出迎えられた時は僕だって驚きましたよ。カフェで会った、男運のない…──」
「──七連敗女と再会したから?」
「…ええっと…まぁ、そんなところです」
私が放った七連敗女というワードに戸惑いを見せつつも、否定はしないみたい。