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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第20章 貴女が涙を流すなら
今日の葉川くんはどういうつもりであんな発言をしたのか。
呼び名が変わったことしかり。
まるで…
まるで周りのみんなに、私達の関係を知らしめるみたいな。
『 私達って、やっぱり付き合っているの? 』
『 実感がないようでは……困りますね 』
まさか私に実感を持たせるための作戦とか?
ありえる。外堀から埋める作戦かも。
葉川くんの狙いがそこにあるのなら、確かに成功しているし。
おそらく、事務所の皆はもとからうすうす気付いていたんだと思う。穂花みたいに。
でも今日の葉川くんは、公言したも同然なのだ。
藤堂設計事務所は職場恋愛禁止ではないけれど…あんな小さな職場にカップルがいるなんて、気まずいに決まっている。
「ハァ……明日にでも葉川くんを怒らなきゃ」
公私混同は私の望むところでない。
ここは冷静に注意しなければと心に決める。
...ポツ
「……雨?」
その時、小雨を知らせる音が私の耳に届いた。