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第4章 誘惑のドライブ

わからないけれど

畏れいったわ……。


「…そうね。せっかく褒めてくれたんだから、ここで私が否定するのもおかしいし。指導する立場としても、作品に自信が持てないんじゃあ君に失礼ね」


私みたいな女にはどういう言葉が喜ばれるのか

それを熟知している。

ホント流石と言うか、やり手と言うか。



「仕事を評価されるのは、嬉しい」


「僕は審査員じゃないですけど？」


「そんなの関係ないわ。ありがとう」



私は自然と笑えていた。

葉川くんの前では初めてね。

隠す必要もないから、微笑んだままで彼と目を合わせた。



葉川くんも相変わらず笑っている。…そう、いつも通りに。


“ 悔しいわね ”


そっちこそ一度も本気で笑ってないくせに

他人のこと言えるのかしら。


でも、まぁ、いいわ。


今は久しぶりに

なんだか楽しい気分だから──。











──…