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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第5章 カラダから始まる
私がシャワーを浴びて戻ると、食事を終えた葉川くんはテレビを見ていた。
フローリングに敷かれたラグも、その上のローテーブルも、テレビ台も…ほとんどの家具は黒で統一されているけれど、彼が座るソファだけは白色だった。
私の気配に気付いた彼はこちらに振り向き、そして一瞬…止まったあと、困り顔で口を開く。
「着替えの服を置いていたんですが、気付きませんでしたか?」
「…どうせすぐに脱ぐんでしょう。わざわざ君の服を借りなくていいわ」
彼の前に現れた私は、身体にタオルを巻いた姿だった。
ここで照れたほうが可愛いげがあるんだろうけれど、おあいにくさま。そんな初々しさをアピールする歳ではない。
湿り気をおびた髪を耳にかけながら、私は彼の隣──ソファとテーブルの間で立ち止まった。
「食べ終わったなら、シャワー浴びてきたら」
「軽く浴びるつもりでしたけど…」
ただ彼は彼で、慌てている様子はなかった。
困り顔も最初だけ。すぐに元通り、余裕たっぷりの仕草で私のほうに手を伸ばす。
そして私の手首に徐( オモムロ )に指を滑らせて…
ゆっくりと、引き寄せた。