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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】
それに戸惑いながらも。
ピト――と、応じて舌を合わせた。
「――!」
瞬間、唯のそれはピクと慄き。
しかしそうでありながら――安堵にその微動を鎮めたかの如くもあった。
「……」
「……」
その出会った感触を、初めて――二人は覚え。
だが、それ以上の交わりを、どちらともなく控えた。
ふ――――と微かな吐息を、同時に奏で。
十秒にも満たない邂逅は、それで終わった。
「あ、の……」
直後、その視線の行き先に、困っているのは正直だけ。
相手のマスクの顔は、やはり揺らぎを表してはくれない。
しかし――
「これが、私の――初めての、キス」
只、唯は――細やかな事実を、その言葉で伝えた。