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朽ちぬ華
第4章 この世は鏡が多すぎて

あれは私ではありません
理由がありません
私はずっと歳上です
理由になりません
私は私でここにいます
だからなんです
もう言葉が出ない
どうやらこの道化師は
どうしても論破出来ないらしい
水玉模様の帽子を整え
彼は微かに微笑んだ
ご覧なさい
もうすぐ貴方が消えてしまう
見上げた空から
ナニかが落ちてくる
堕ちてくる
羽が顔にぱさりと付いた
鳩だ
ああ
確かに私の羽
ご覧なさい
もうすぐ貴方が消えてしまう
そうだ
消えてしまう
指先から
髪から
心臓から
最後に残るのは
どの私でしょう

