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朽ちぬ華
第9章 君に夜明けを

 君に見せたいんだ

 淀みのない空気

 雑音のない空

 吸いたくなる香り

 日射しの柔らかさ

 潤う芝生の感触

 鳥のさえずり

 虫の合唱

 知らなかったろう

 世界はこんなに賑やか

 知らなかったろう

 黙ってるのは

 人間だけ

 ぼくらだけ

 寝坊助らだけだ

 愉快だろう

 君に見せたかったんだ

 この騒がしい世界

 だって君の耳は

 随分長い間

 閉じたままだから

 そろそろだ

 夜明けだよ

 眠り姫

 耳を澄ませて
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