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朽ちぬ華
第10章 それぞれの匂い
episode1

「あなたの匂いがするわ」

 古い新聞紙に埋もれた

 ダンボールの中

 一昨年編んだくたくたのセーター

 あんなに懸命に編んだのに

 今ではどこの毛糸かも思い出せない

 何度も解き

 何度もやり直し

 やっと出来たのはいつだっけ

 クリスマス?

 あなたが笑ったことは覚えてる

 サイズはちょうど

 当たり前でしょって

 動かない指をぷらぷら振って

 笑ってみせたのよ

 ああ、ほら

 毎週帰ってきたら着てたわね

「俺はこんな匂いか?」

 不満そうに袖を摘んで持ち上げて

 あなたはきっと苦笑する

 ええ

 きっと

 ほつれるほどに愛用してくれたあなた

 セーターの中でまだ息をしてる

 ほら

 あなたの匂いがするわ

 ねえ

 抱きしめるから

 抱きしめて?

 ダンボールにもたれて

 目を瞑る

 あの日の朝の

 空気が漂う

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