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お礼の時効
第3章 あなたを傷つけるようなことはしません
翌日春季は公判を終えて、担当検事と話しをしていた。
話が終わり、そろそろ事務所へ戻ろうとしていた春季の目に、浅野の姿が入ってきた。
どうやら浅野も担当している公判が終わったばかりのようで、帰り支度をしていたところのようだった。
互いに刑事事件を扱う弁護士と検事だ、裁判所で鉢合わせになってもおかしくない。
「仕事場」で会うことは覚悟していたが、まさかそれを覚悟した翌日に会うとは皮肉なものだ。

春季は浅野と顔を合わせぬよう背を向けて、出口に向かって歩き始めた。
すると背後からカツカツと乾いた足音が聞こえてくる、春季が足を速めるとその音も速度を速めてきた。
どんどん自分に近づいてくる足音に春季は不穏な気配を感じ、ついに走り出してしまった。

浅野は春季の姿を見かけ声をかけようとしていたのだが、足早に去る春季の背中を追いかけているうちに、春季が自分を避けていることを確信し無性に腹がたった。
なぜ自分から逃げ出しているのだ、まだ答えをもらっていない、逃がさない、浅野は夢中になって追いかけていた。

裁判所の奥の廊下の突き当たりに追い込まれ、春季はうろたえてしまう。
浅野はつきあたりの壁の前でうろたえている春季に向かい、襟元を緩めながら歩調を戻しゆっくり近づいてきた。

不機嫌そうな浅野がどんどん自分に近づいて来る。
春季は廊下の壁にしがみつくように体を小さくして怯えていた。

バン!!

突然耳に響く大きな音に春季は思わず目をつぶり、身をすくませてしまう。壁をたたいた大きな音が廊下に響いていた。
春季が恐る恐る目を開くと浅野の顔が目の前にあって、どうやらすっかり囲い込まれているようだった。
浅野の腕の間から逃げようとするが、春季の両脚の間に浅野の足が挟み入れられて身動きできない。

浅野の瞳はまっすぐ春季を見据えている。
その瞳に春季は飲まれそうになりながら、なんとか堪えていた。
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