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「また おいで」
第1章 はじまり
(さっきまでの気分がだいなし)
普段満員電車なんて乗らないから
どうしていいかわからない。
(どこかにつかまりたい)
つり革もポールも、手の届く範囲にはない。
宙ぶらりんの立ちっぱなしの姿勢は
運動不足の足腰には辛い。
車両が揺れるたび、足がプルプルする。
(みんな、すごいな)
さすがに慣れているせいか、がっちり地に足がついている。
ガタンッ
軽い衝撃にふらついた私は、
思わず近くにいた人の服を掴んでしまった。
「ごっ、ごめんなさい!!」
小さな声を出すのが精いっぱいだった。
空気も少し薄いような気がして、いろんな臭いで息苦しかった。
(早く逃げたい・・・)
わたしは自分のバックを抱きしめた。