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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon

「なんだって?」
「株主総会に、副社長がなにか仕掛けそうだ」
「やっぱりね。渉や月代社長が心配していた通りか。副社長を抑える策、あるの?」
「月代さんが、名取川文乃を落とせってカバに言ったらしい」
「名取川……文乃? あの影の女ボス!?」
「ああ。しかもどうやら月代さんは、電話番号を知っているらしい」
「は……、なんなのあのひと! どこまでコネあるの!?」
「惜しいな、現役から引退しているのは。どれだけ忍月コーポレーションが支えられてきたのか。あのひとのアドレス帳、きっと名取川文乃級にすげぇの出てきそうだ」
「しかし……なんで陽菜ちゃん? 結城くんの方が……」
「ああ、だけどカバは、朱羽の補佐があったとはいえ、やじまホテルもとってきたからな。あながちミスマッチとも言えねぇのかもしれん。なにより月代さんの采配なら、間違いねぇだろう」
「株主総会について、話し合わないと駄目ね。簡単にいかないのなら、いい案を話し合いましょう。まずは忍月問題の前に、結城くんを社長にさせて地盤を安定させないと」
「ああ、そうだな」
俺は沙紀の肩に手を回して、部屋から出た。
その時だ。
「俺も行くっす。あ、吾川さん、いいところに来た。ネコ探しに行くんで、社長よろしくっす!」
「はい!? ネコ探し!?」
木島がおかしなことを言って、病室から出た。そして朱羽までも。
「渉さん。あのパソコン見ていて下さい。幸福の白いネコなら、きっといいことがあると思いますので。正解か不正解かはまたご連絡します」
「え、おい、朱羽……」
「では、行ってきます」
病室には、俺と沙紀と月代さんしかいない。
なにやら他の連中は、"幸福の白いネコ"を探しに行ったらしい。

