この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
 

 彼女は含んだ笑いを見せた。
 
 あたしを笑っているのだろうか。……甘い? それでも結城だから、あたし達は従えるんだ。
 
 朱羽の方に視線が移る。

「……。あなたは? 一番の頭脳派みたいだけれど。あなたは鹿沼さんのような感情論んらの意見?」

「私はWEB部の課長をさせて頂いています、香月朱羽と申します」

「香月、朱羽……? 忍月の?」

 さすがは情報持ち。
 忍月の副社長からでも、忍月事情を聞いてでもいたのか。

 朱羽は嘲るように笑った。

「私は……忍月ではなく、シークレットムーンの香月朱羽で居たい」

「………」

「そう決心するくらいの不思議な力が、結城さんにはあります。結城さん独特のカリスマ、支配力……、私は、結城さんが率いるこの仲間のためなら、喜んでこの身を捧げたい。恐らくは同僚達は皆、そう思っているかと」

 朱羽の言葉に、皆が一斉に頷いた。

「私は、私自身の欲のために今まで生きてきました。他人を信じるということができない男です。この会社に入って私は、少しずつ自分が変わっていっているように思えます。ようやく喜怒哀楽が出ました」

「………」

「仲間にも顧客にも、全員がひとりのために全力を尽くす……そんな会社です。それはここに集まる皆の信条そのもので、私は……忍月と戦いシークレットムーンに戻る覚悟を決めました。シークレットムーンは私の家族です」

 朱羽の心情に泣けてきた。

 目を潤ませた結城のおかげで、朱羽はシークレットムーンを、結城達を捨てない選択肢を選んだんだ。否、創り出したと言うべきか。

「後継者に、ならないと?」

「なりません」

 きっぱりと朱羽は言い切った。

「忍月財閥の当主になったら、あなたはすべての権力を手に入れるのよ?」


「権力より、彼らの元で人間でいたい」


 朱羽は静かに言った。


「人間として当たり前の感情を、私は知って生きていたい」

 
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ