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*。:゚+ 小鳥遊 医局長の結婚生活+゚*。:゚
第9章 金曜日のフェンタニル
小鳥遊は医局の皆と昼食を摂っていた。

「知ってます?麻酔科の今泉先生辞めちゃったんですって。素敵な先生だったのにな。」

研修医が何気なく言った。

…えっ?

小鳥遊の顔を見て、山口が驚いた。

「知らなかったんですか?」

…どういうことだ?

「え…ええ。いつですか。」

「もう1週間程になるますよ。麻酔科医局長だけが、知っていたみたいで…本当に突然だったみたいです。今朝、看護師から聞いたんです。」

「痩せちゃって、何か病気じゃないかって言われてたんですよね。小鳥遊先生は、仲が良いからご存じ…。」

山口を高橋が慌てて肘で小突いた。

「そう言えば…あの月性さんでも双子ちゃんだと流石に大変なんじゃないですか?」

山口は慌てて話題を換えた。

医局どころか、誰にも冬が出て行ったことは知らないし、その理由もさすがに言えなかった。

「ええ…実は…今アメリカで...また…学生してます。」

「えええええーーー!!」

小峠も含め驚いていた。

…もう…そういうことにしておいた方が楽だ。

「双子ちゃん連れてったんですか?」

小峠が聞いた。

「ええ…まぁ。」

「月性さんスゲー。パワフルだよなぁ。」

冬のファンだった高橋が驚いた。

「でも…小鳥遊先生もそれを許しちゃうってとこが凄い。まだまだ新婚でしょう?」

研修医が言った。

「そうですね。」

私生活が、とっくに崩壊してしまった今も、表面上は取り繕って過ごしている自分が滑稽に思えた。

帰宅後、そっと今泉の部屋のドアを開けると、綺麗に荷物が無くなっていた。一時期よりも元気になっていたし、仕事は会わないだけで、続けているものとばかり思っていた。

今泉の甘い香りが残る寝室で、小鳥遊は長い間佇んでいた。


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