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*。:゚+ 小鳥遊 医局長の結婚生活+゚*。:゚
第23章 Happily Ever After
その隙を見て、今泉が冬が手に持っていたチケットをさっと取り上げた。

「あっ…ちょっと。」

中を確認して、ポケットにさっさとしまった。

「これは預かっておきます。僕がホテルやレンタカー、病院の手配をするので、トーコさんは何もしなくて良いですから。」

今泉が意地悪く笑った。

「それからパスポートは、随分前からですが、僕が保管していますから。」

今泉は、冬の顔を見て微笑むと小鳥遊が頷いた。

…ふたりともグルだったのか。

「どーりで探しても無いわけだ。」

冬が残念そうにいうと、小鳥遊が呆れて言った。

「ほらね?油断も隙もありゃしませんよ。」

「兎に角、トーコさんは体調管理だけ注意して下さい。後は僕たちで手配しますから。」

今泉がきっぱりと言った。

「判ったわよ…。」

冬は大きな溜息を二人の前でついて見せた。そして、食べるのに飽きて公園へと走り出した夏を慌てて捕まえに走った。

「ああ…怒っちゃった。でも、まだまだ気が抜けませんね。」

今泉はそれを見て笑った。

「ええ。いつも突拍子も無いコトしますからね。あの人は…。」

今泉と小鳥遊は肩を並べて静かに逃げる夏を追いかける冬の背中を見つめていた。

「やはり僕たちは三人で丁度良かったのかも知れません。」

冷たい風が吹くと、桜の花びらが気まぐれに、ひらひらと枝から落ちてきた。今泉も小鳥遊もそれを静かに眺めていた。

「ええ。あの人の面倒は一人じゃ到底無理でしょうから。」

二人で声を出して笑うと、華が真似して嬉しそうに笑った。

「ママは、君らよりも手が掛かるよ。」

今泉が華の頭を優しく撫でた。華は髪が伸びて、前髪をピンで止めていた。良く動く大きな目が、今泉と小鳥遊の顔を交互に見つめた。この奇妙な三角関係では、お互いの力が拮抗しバランスが上手く保たれていると誰もが感じていたし、3人ならば、これから先も何があっても今迄の様に乗り越えられるような気がした。

「…そうですよ。大きくなったら、僕たちの苦労が、あなたにもきっと判りますから。あなたは、あの人みたいにお転婆になって、お父さん達を困らせたりしないで下さいね。」

小鳥遊が、目を細めて華を見つめた。
うんうんと頷きながら小鳥遊の膝に座る華を見て、二人はまた笑った。


(小鳥遊医局長の結婚生活 おわり)
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