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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
「さっきの写真、見せて」
せっかくの誕生日に悲しい想いに浸らせたくはないと、華はわざと明るく結利に話し掛けた
「……ん? ああ、いいよ」
一瞬遅れて返事をし、結利は内ポケットにしまった写真を華に見せた
「エリーゼって言うんだ」
「私……この子知ってる」
「ああ、オレの家を追い出されてからアーヤ達のとこに行ったからどっかで会ったのかもな」
結利の瞳がまた少し翳る
華は慌ててその先を続けた
「私も会いに行きたいな、この子に」
結利は突然の発言に少し目を大きくする
そしてすぐに柔らかく温かい笑みが広がった
「そうだな、二人で行こう。きっとコイツも喜ぶ」