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蜘蛛の巣
第14章 想いの渡し方
「あー、凄い贅沢な時間だった!」
ドレスも脱がずにベッドに倒れ込みながら華は一人ごちた
"ショパン……あんまり好きじゃないって言ってたのに、私の為にわざわざ弾いてくれたのかな……"
結利の想いがそう簡単に彼女に伝わるはずはなく。
「やっぱりピアノ弾いてる時のユウくんカッコいいなぁ……」
華が意図せず使うこの言葉は、結利にとって最高の殺し文句だった
「……ん」
ふとベッドの脇に残していったスマホにメールを告げる明かりが点滅していることに気が付く
「真里枝からだ……」
表示された名前にドキリとする
実はパーティーの間もずっと頭の隅にあったのだ
『ごめん、今日誕生日だったね! ハピバ!
プレゼント明日渡すねm(__)m』
毎年日付が変わった瞬間一番に連絡をくれたのにーーー
『ありがと〜
うん、楽しみにしてる(*^ー^)ノ♪』
とりあえず返信し、スマホを脇に放り投げる
どこか虚しい空気が、彼女達の間に流れていたーーー