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蜘蛛の巣
第16章 軋む
「ふん……」
遥が歪んだ笑みを浮かべる
「この屋敷は早霧の管理下にある。お前の家じゃない。
お前は早霧に寄生する無価値な人間だ」
そして面倒臭そうにため息をついて続けた
「でも駄目だな…お前がいた空間というだけで気分が悪くなる……。
今日は帰る」
「なら俺も一緒に……」
「いい。お前の顔も見たくない。
次に俺が喚ぶまで自分の立場をよく考えておけ」
遥はドアの方へ行きかけて、要の横で少し立ち止まった
「絶対にお前を一族から追い出してやるからな」
談話室のドアが乱暴に閉められ激しく音を立てる
重苦しい空気の中に三人は立ち尽くしていた
「あの、要さん……」
何か言わなければーーーせめてお礼をと華は口を開く
「騒々しいと思って来てみれば、何でアイツが……原因はお前か?」
「えっ……」
要の瞳は、いつだったかーーー旅行先で見たのと同じように苛立っていた
心当たりはないーーーでも、遥が言い掛けたことから推測するに恐らくそうだろう
「何故かは分からないけど…多分……」