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蜘蛛の巣
第19章 傀儡子
「気持ちも重要ですが……一族にとって、一番良い形になればそれでいいんです」
覚悟があると言いたげな眸に、和樹はゆっくりと口を閉じた
“和樹は華チャンが周りの感覚に慣れなくてあたふたしてるのが面白いんだよ。
でももう……きっとそうじゃないんでしょう?”
煉にはバレていた
華がもう以前とは違うと。
そしてはっきりと告げた今、彼の弟もそれを理解したのだ
「…そう……」
それまでよりワントーン低い声が響くと同時に、自室の前で止まっていた和樹の足が華の側に戻ってきた
思わず一歩下がる華。
…トン
和樹の腕に囲われる形で壁に追い詰められると、甘い雰囲気など微塵もない彼の眸を見つめた
「なら、一緒に堕ちる?」
冷たい声が耳に入ってきて、華の身体を硬直させる
「……っ!」
怖いのに、何故か見下ろす眸に妖しさを感じてしまうのは
男女として交わった躰の記憶、なのだろうか–––