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ホントの唄(仮題)
第7章 二人だけの時間に
立ち寄ったサービスエリアで少し仮眠を取り、白々と明けた朝の陽射しを照り返すハイウェーをひた走る。
「いけー! 飛ばせー!」
俺と異なり十分な睡眠を得た真は、とにかく元気だった。ハイテンションに叫ぶと、前を行く車を追い越せとばかりに拳を振る。
だが、それは無理というものだ。
「ああん――また抜かれた」
ビュンと風を煽り、瞬く間に俺たちの横を走り去ったのは、真っ白なボディーのスポーツセダン。それを皮切りにして、何台もの車が次々に俺たちの軽乗用車をぶち抜いていった。
真はその都度、口惜しいとばかりに俺を急き立てている。
「オジサン、この車。もっとスピード出ないの?」
「十年落ちの軽に、無茶をさせてくれるなよ。お前、なんでそんなに剥きになってるんだ?」
「後ろから来たのに先に行かれるのが癪なの」
「そう言われてもな。安全……第一だし」
途中に欠伸を挟み、そう言うと――
「もう! ホント、呑気なオジサンだわ」
真は幾分と呆れた目つきで、そんな俺を睨みつけた。