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ホントの唄(仮題)
第8章 誠実な(?)、情事
その笑みに――
「どう――?」
と、訊ねられ。
「なにが――だ?」
と――こちらは、ゆとりのない笑みを携えつつも、そう惚けていた。
この後に及んで、言葉で意識を探ろうとする貪欲さに、やや呆れる。交わった感触を問われているのなら、表情を初めとする俺の反応を見れば十分過ぎるくらいわかってる筈だ。
その間にも、艶めかしい温度と、俄かに捩じり上げるような圧迫が、じわりと俺を責める。
「私――いい?」
「まあ……悪くはないさ」
「そ――」
くすり――と、今度は柔らかく笑んで。
俺の右の頬をさわっと撫でた右手。それが引き寄せるように、三日月の如き唇が迫った。
触れて、押し込まれるような――キス。
真に身体を密着され、背が倒れそうに傾く。応戦に精一杯な左腕を残し、ベッドに右手を着くと押し倒されまいと、重さを支えた。
寝てしまった方が楽には違いあるまい。が、それでは押し寄せる快感に屈するのだろうと予感し、それが嫌で何とか耐える。