この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ホントの唄(仮題)
第14章 エピローグ
「……!」
その唄声を、詞を耳にして――。
初めて出会った夜――公園。二十四時間営業の牛丼屋。
押しかけられた、部屋。仕方なく寝かせた、ベッドの上。
行きつけの寂れた、ラーメン屋。
婆さんの墓参り――そこで語り知った、互いのこと。
ショッピングモールでの、珍騒動。
そして思い立つ、無謀な旅立ち。水族館で見かけた、妙な魚。
戯れの海。その後のこと――真の肌の温もり。
息も切れ切れに登った山の景色と、奇跡的な光景――。
とか、とか――詩で語ってないことまで、もっと、ずっと。
「…………」
呆然と言葉を失った俺の脳裏には、その全ての場面が鮮やかに蘇っていたのだった。
そうして、真は正にその名を以って――
更に鮮烈に、彼女の真(ホント)の唄を唄い尽くそうとしてゆく――。