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果てのない海に呑まれて
第9章 理解し得ぬ想い
そう発した次の瞬間、レオンの腕が伸びてきてぐいと自分の方を向かせた
「今の言葉、もう一度言ってみろ」
「……っ」
怒っているのだろうか
真っ黒な瞳がリリアを射抜く
リリアは少し怯えて目を逸らした
「…お、面白がっているだけ……」
「私の目を見て言え」
「…っ……」
低い声音にもう一度彼の瞳に視線を戻す
「…あ…っ……」
だが言葉が出てこない
「私が面白がっているだけのように見えるか?」
「……っ」
見えなかった
真っ直ぐに見つめる彼の瞳は真剣で。
−−−そしてどこか、寂しげな−−−
「目を逸らすな」
レオンはリリアの腕を掴み強く押さえつけた
「どうしてそうすぐに遠くを見る。そこに何かあるのか? お前の求めるものがあると思っているのか?」
「私が求めているのは…っ……貴方じゃないもの……!」
「……残念だが」
レオンの手に更に力が籠る
二人の顔がぐっと近付いた
「お前には私しかいない。私以外にお前を救える人間などいない。
あの夜にそれを伝えたつもりでいたんだが……」
「っや……」