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果てのない海に呑まれて
第15章 春のキザシ
「ん……」
リリアは微かな物音に目を覚ました
ベッドの近くで何者かが動いている
小さく寝返りを打つとそれを確かめようと薄く目を開けた
「……っ!」
リリアの目が一気に見開かれる
後ろ姿しか見えないが、そこにいたのは市場などでよく見かける、庶民の格好をした男だった
空はまだ白み始めた頃で、背後から射す僅かな光だけが男の姿を浮き上がらせている
「だ、誰っ!?」
リリアが高い声を上げると、男は驚いたようにさっと彼女の方を振り向いた
それはーーー