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果てのない海に呑まれて
第18章 訣別

彼女の墓の前で、何度詫びたか知れない
'兄上が贈って下さるものはどれもとても素敵ね!
私もいつか兄上と他の土地へ行ってみたいわ!'
ああ、何度でも贈ってやる
今回はこの赤いドレスが良いかーーー
あいつの金の髪によく似合うだろう
'会いたいと願えば会えるのか? 過去を振り返れば蘇るのか?'
そうだ、本当は分かっていたーーー
'無駄なことはしない。余計に辛くなるだけだ'
あの言葉は、自分を誤魔化す為の嘘だーーー
'この世にいない人間のことばかり考えていては今在るものを見失う'
兄に縛られる母を見てそう思っていた
そして同じように妹に縛られている自分に気付いて何度自嘲したか知れないーーー

