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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
午後になり、此方もジェーニオの後を追うようにファルツ家に戻る馬上に揺れながらリリアは終始思い詰めた顔をしていた
「……リリア」
「……」
「リリア、見てみろ」
「……え?」
隣から話し掛けてきたレオンに一瞬遅れて反応すると、リリアは指差された方に目を移す
小高い丘からはもう海が見え始め、反射する陽の光に目を細めた
「…なぁに? 綺麗ね」
あまり元気のない返事にレオンは心配しながらも首を横に振る
「そうじゃない。もっと港の方だ」
「え……?」
リリアは言われた通りにすると、今度は心の底から感情を露わにした
「何、あれ……!?」
驚く視線の先には、今まで見たこともないような巨大な船。
「ラ・マリガランテ……真の世界を目にする為の船だ」