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果てのない海に呑まれて
第23章 夢追う男
リリアがマリガランテ号を間近で目にしたのは、その翌日のことだった
普段レオンたちが乗っている船の倍はある
見知らぬ男たちの漕ぐボートで船まで向かいながら、リリアもレオンも驚きを隠せないでいた
「なんでこんなに大きいのかしら……」
「船長の図体に合わせたんだろ」
「……?」
レオンが笑いながら甲板の方へ手を振ったので、リリアもつられて船を見上げる
そこには、なるほど、逆光で顔はよく見えないが確かに人より一回りも大きい男が手を振り返していた
「レオン! 久しぶりだな!」
「二年…いや三年ぶりか? また太ったんじゃないか、クリス」
「馬鹿野郎、こりゃ筋肉だよ」
リリアは気さくに挨拶を交わす二人を一歩引いて見ていた
ふとレオンが此方を振り返り近くに来るよう促す
「リリアだ。シエラで会って、今はファルツの邸に住んでいる。
リリア、これはクリストフ。私の旧友だ」
「悪友の間違いだろ」
クリストフは鼻で笑うと大きな手をリリアの方に差し出した
「クリスと呼んでくれ」
「よろしく」
リリアもその手を握り返し、にこりと微笑む
そんな彼女をじっと見てクリスは何か考えるような素振りを見せた
彼の赤茶色の髪が一瞬風に揺れる