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果てのない海に呑まれて
第23章 夢追う男
「あいつの話なんざどうでもいい。
それよりどうだ、船の中を案内しようか」
「ああ、ぜひ頼む」
「素敵な彼女も一緒なんだ。せっかくだからヴィークの小航海といこうじゃねぇか」
クリスが合図すると、乗組員たちが慌ただしく動き出した
錨や帆を上げ、風が強く吹くのを待つ
「……これだけの船になると動かすのも大変そうだな」
「ああ。だからこのヴィーク海で練習していたのさ」
「…あっ!」
船がゆっくりと動き出し、船首の女神像が導く方向へと進み始めた
髪を巻き上げる強い風が心地良い
「……それで、この船にはどのくらいの乗組員と荷が載せられるんだ?」
「もちろん、普通の倍以上だ。その分進度は遅くなるけどな」
レオンは早速船についてクリスに質問している
リリアは船縁に近付きもっと遠くを眺めようと首を伸ばした
「リリア!」
振り返ると、二人が此方に向かって手招きしている