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果てのない海に呑まれて
第25章 それぞれの選択
「…いいか? 私が合図したら同時に……」
「ああ、分かってる」
物陰で何やらヒソヒソと話す、レオンとクリストフ。
その視線の先では甲板の上を人々が騒がしく動き回っていた
「……今だ!」
打ち合わせ通り、レオンの合図と共に二人は飛び出した
目標にしていた男の足をクリスが掴んで引きずり倒し、相手が焦ったところでレオンがその上に馬乗りになる
「無駄な抵抗はやめろ」
レオンは冷たい口調でそう言い、敵にナイフを突きつけていた
だがその切っ先は小刻みに震えている
「他の奴らを止めるんだ」
「そ、そんな……」
「早くしろっ!……部下を死なせたいか?」
血が滲みそうになるほど喉元に剣が食い込み、敵方の船長はゴクリと唾を飲む
「や、やめろー! 全員降参して武器を置け!」
船員たちは子供二人に押さえつけられた長を見てギョッとしつつ、とにかく指示に従った