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果てのない海に呑まれて
第28章 天乱る〈ソラミダル〉
シエラからアウスグライヒに連れて来られた時、その間わずか三日。
だが潮や風の関係からシエラに戻る為には五日ほどかかる
「レオン……」
閉ざされた扉を見つめリリアはため息をついた
どれだけ気持ちを繋げても、彼はその理由を話してはくれない
船尾に籠ったまま出て来ないレオンと、その前でただじっと座り込むリリア。
「……船を見つければあいつは仕事をしなきゃならなくなる。お前の前で手を汚したくはない。
そんなところだろう」
仕事の報告か、部屋から出てきたミゲルがその様子に呆れたように説明した
「……本当に?」
たとえ彼が魔物でも–––それでもいい
自分はそれを受け入れ、共に抗ってみせると言ったのに。
それを分かっていない彼ではないだろう
「リリア」
ミゲルは彼女の前にしゃがみ、いつになく真剣な顔で向き合った
「もうこれ以上、レオンに深入りするな。これは護衛としてじゃない……お前が既にファルツの人間だからこそ言うことだ」
リリアと共にいるレオンを見て微笑んでいた彼とはまるで違う