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果てのない海に呑まれて
第32章 そしてまた一人

リリアを部屋まで送り届けると、カレルは彼女の額にそっと口付けした
「今日一日だけでかなり疲れただろう。湯を浴びてゆっくり休むといい」
「あら、優しいのね」
いきなり押し倒されるくらいの覚悟でいたのだが–––
「時に厳しく……だが言うことを聞けば思いっ切り褒めてやる。
動物を躾ける時の基本だよ」
「……そう」
リリアはただ一言それだけで、さっさと横になろうとした
「それじゃ……僕の可愛いお人形さん」
「ええ、また明日」
バタン
「私……捨てられるの?」
女の言葉に、カレルは深く溜め息をついた
「部屋の外まで待ち伏せておいて尋ねることがそれか?
本当に……心まで醜い女だな」
「ご、ごめんなさい……」
ブリジッタは慌てて頭を下げ、パタパタと薄暗い廊下を駆けて行った

