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果てのない海に呑まれて
第6章 新たな道へ
「リリア」
優しい声
暖かい陽の光
“もう朝なの……?”
全然、寝た気がしない
リリアは寝返りを打って体を丸める
“あとちょっと……”
「リリア、そろそろ起きろ」
肩を小さく揺らす手
“やだ、私もう大人って言っていい歳なのよ。なのに寝室に入ってくるなんて……”
「…お父様ったら……」
眠そうに呟いたその言葉にレオンは一瞬動きを止めた
リリアの幸せそうな寝顔をじっと見つめる
「……」
そして黙ったままゆっくりと彼女の頬に手を−−−
「痛いっ!」
頬の痛みに驚いてリリアはベッドから飛び起きた
「何するのよお父様!」
「……いつまで寝呆けている」
冷めた目でこちらを見る男にリリアは眉をひそめる
が、すぐに自分の置かれた状況を思い出して顔色を変えた
「やっと目が覚めたか。もう港に着くぞ」
レオンはそう言って準備をするよう促すが、リリアは何も言わずただ彼を睨み付けている
「ハァ……言っておくが」
顔を近付けられびくりとたじろぐリリア
「その格好で粋がっても様にならんぞ」