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果てのない海に呑まれて
第6章 新たな道へ
リリアはぐっと息を詰めた
まさか敗けるとは思わず、勝負を安易に受けすぎた
そう言われてしまってはどうしようもないーーー
相変わらず意地の悪い笑みを浮かべるその男に、リリアはとうとう白旗を上げた
「はい、約束します……」
辛うじて聞き取れるかという声で俯いて宣誓する
「フッ、いいだろう」
その程度でもレオンは満足し、服を彼女の脇に置いた
「私は先に出ている。着替え終わったらすぐに来い」
そう言って静かに部屋を後にした
「……」
遠くに見え始めた陸を眺め、レオンは無意識のうちにため息をついた
「またそんな顔をする」
いつの間にか隣に来ていたミゲルがレオンに話し掛ける
「……どんな顔だ」
「実家に帰りたくないって顔だよ」
レオンの額に寄った皺を指差しながら笑う
「当たり前だ。あそこには面倒事が多すぎる」
「俺は嬉しいがな。あの騒がしい情事をもう聞かなくて済むかと思うと」
「あれはリリアが……」
レオンが反論しようとした時、身支度を整えたリリアが甲板に姿を現した
レオンは手を上げて此方へ呼ぼうとしたが、彼女は彼を見るなりふいと顔を背けて反対側に行ってしまった