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潮騒
第5章 初夜 ー満潮ー
放心した菊乃の身体を、正一郎が抱き締め、優しい顔で微笑んだ。
「よかったやろ?」
薄暗い月明かりの下で見るその顔は、男の魅力に満ちて、菊乃は目を瞬かせ、よく見ようとした。
恥ずかしいのに、この人の顔を見ていたい。
ときめきと羞恥がない交ぜになり、伏目がちに菊乃は正一郎を見つめた。
これが、うちの夫…
うちの、いいヒト…
あんなに怖かったのに。
表情ひとつで、行為ひとつでこんなにも変わる。
男と女とは。
夫婦とは。
乙女の知り得ぬ世界を垣間見た菊乃は、自身で自身の心の変わりように驚き、頰が熱くなるのを感じてギュッと目を瞑った。
「よかったやろ?」
薄暗い月明かりの下で見るその顔は、男の魅力に満ちて、菊乃は目を瞬かせ、よく見ようとした。
恥ずかしいのに、この人の顔を見ていたい。
ときめきと羞恥がない交ぜになり、伏目がちに菊乃は正一郎を見つめた。
これが、うちの夫…
うちの、いいヒト…
あんなに怖かったのに。
表情ひとつで、行為ひとつでこんなにも変わる。
男と女とは。
夫婦とは。
乙女の知り得ぬ世界を垣間見た菊乃は、自身で自身の心の変わりように驚き、頰が熱くなるのを感じてギュッと目を瞑った。