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まほろばマボロシ~仮初めの結婚~
第10章 触れる手の温もり
廊下に残された雅はペタリと座り込んでしまった。今にも涙が流れそうな位に溜まってきた。

「言える訳ないじゃない…どうしたらいいかとかなんて私だって解らないよ…」

そう言いながら顔を拭いながら部屋に入って行く。壁に凭れながら雅は考えていた。


何で…よ…‥

初めて…
触れてくれるのが

こんなケンカのタイミングなんて…


そんな考えとは裏腹に雅は結翔に掴まれた手首をそっと撫で、唇を寄せた。


こんなにも強くて…

でも…

凄くあったかかった…


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