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渇いた人妻たち
第3章  不倫願望
 一方浩美は、前回のデートの時に征男の言葉の端々にそれとなく自分の身体を欲しそうに言われていたが、初めてのデートで許すような素振りをすると、尻の軽い女だと思われると考え、プライドが許さずに断るような言葉を使ったのだが、最近の征男の態度を見ていると[本当に彼は私のことが好きなのだわ]
と思えてきて、今度誘われると断りきれなくて、一気に最後の一線をも越えてしまいそうな気がする程、心は完全に征男にのめり込んでしまい、それは自分では如何することもできなくなっていて、自宅二階のベランダから征男の駅の職員用駐車場を、放心したような顔つきをして眺める日が多くなり、生け花を教えていても集中出来なくて、門下生から、[この頃の先生何か悩みがあるの?]と直接言われることもしばしばあるようにまでなっていた。
 カラオケの当日、浩美は大好きな征男が来るということで、夕方からは心が弾み鼻歌交じりでビールのつまみ作りに精を出していた、帰宅した夫に、
 「今日は早くから準備しているんだなあ」
 「だって初めての駅長さんが来てくれるので綺麗にしておかないとね、それよりお風呂へどうぞ」
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