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向日葵
第11章 想い愛
「タイトルがCourtというのも斬新ですよね。
『目の前を立ちはだかる強い風があなたに吹つけようとも、襟を立てて堂々と進めばいい。
私はあなたのコート。
優しく包んで温めて、やがて陽だまりの場所へと導くでしょう。
その時、邪魔になるのなら脱ぎ捨てればいい』
という、ラストのセリフは印象的でした。
多分、見返りを求めない純粋な愛って、こんな言葉で喩えるんでしょうね…」
「斬新でしたか?
実は私もそのセリフが好きです。
私自身、風が強い日は襟を立てます。
この物語を書き終えて今の私が居ます。
江添さんにダメ出しされても、このラストだけは変えたくなかったです」
「あはは
いや、ラストシーンが一番好きですよ!
私は頑固で偏屈ですからね…
作家さん泣かせかもしれません。
勿論、大物作家さんや売れっ子さんには何も言いませんし、言えません。
ちゃんと身分は弁えてます。
ただ、新人作家を生かすも殺すも担当者の努力なのかもしれません。
そこはプライドを持ってやらせて頂いてます。
仕事柄いろんな作家さんの本を読みますが、猫先生の物語は独特ですよね。
人間の弱さや醜さ、狡さを敢えて浮き彫りにして書かれていて、『なんて奴だ!』と思う登場人物が実は一番人間臭かったりして…。
そういうの求めてる方にはじんわり伝わってくると思いますよ?」
「有難う御座います。
私も精進させて頂き、ご期待に応えられる作家になりたいです。
江添さん直しがあったらいつでも言って下さい」
「はい。かしこまりました。
先生はこれからアルバイトでしたっけ?」
「はい。まだまだ物書きで食べて行けませんから、当分は二足のわらじ生活です」
「はぁ……それはお疲れ様です。
でも、いつか、『陽だまりの猫、ここに有り!』という本が出せますよ。
今回のCourtも個人的には期待してます。
先生の熱烈なファンが放っておきませんよ!
あっ、そうそう!ファンレター届いてますよ」
江添は自分のデスクに戻り、私宛に届いたものを渡す。
「月の涙さんからのファンレターです。
この方の感性も凄いですよね!
私が先生を見つけられたのも、この方のアプローチでしたから」
『葉月……』
『目の前を立ちはだかる強い風があなたに吹つけようとも、襟を立てて堂々と進めばいい。
私はあなたのコート。
優しく包んで温めて、やがて陽だまりの場所へと導くでしょう。
その時、邪魔になるのなら脱ぎ捨てればいい』
という、ラストのセリフは印象的でした。
多分、見返りを求めない純粋な愛って、こんな言葉で喩えるんでしょうね…」
「斬新でしたか?
実は私もそのセリフが好きです。
私自身、風が強い日は襟を立てます。
この物語を書き終えて今の私が居ます。
江添さんにダメ出しされても、このラストだけは変えたくなかったです」
「あはは
いや、ラストシーンが一番好きですよ!
私は頑固で偏屈ですからね…
作家さん泣かせかもしれません。
勿論、大物作家さんや売れっ子さんには何も言いませんし、言えません。
ちゃんと身分は弁えてます。
ただ、新人作家を生かすも殺すも担当者の努力なのかもしれません。
そこはプライドを持ってやらせて頂いてます。
仕事柄いろんな作家さんの本を読みますが、猫先生の物語は独特ですよね。
人間の弱さや醜さ、狡さを敢えて浮き彫りにして書かれていて、『なんて奴だ!』と思う登場人物が実は一番人間臭かったりして…。
そういうの求めてる方にはじんわり伝わってくると思いますよ?」
「有難う御座います。
私も精進させて頂き、ご期待に応えられる作家になりたいです。
江添さん直しがあったらいつでも言って下さい」
「はい。かしこまりました。
先生はこれからアルバイトでしたっけ?」
「はい。まだまだ物書きで食べて行けませんから、当分は二足のわらじ生活です」
「はぁ……それはお疲れ様です。
でも、いつか、『陽だまりの猫、ここに有り!』という本が出せますよ。
今回のCourtも個人的には期待してます。
先生の熱烈なファンが放っておきませんよ!
あっ、そうそう!ファンレター届いてますよ」
江添は自分のデスクに戻り、私宛に届いたものを渡す。
「月の涙さんからのファンレターです。
この方の感性も凄いですよね!
私が先生を見つけられたのも、この方のアプローチでしたから」
『葉月……』