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第3章 お漏らし

ニーナが１２才のときのことです。

ニーナは母親とカトレーヌと一緒に、家の庭先に立っています。

近隣の村の人から、馬の治療を頼まれたのです。

怪我をした馬が、庭でしゃがみ込んでいます。
脚が腫れています。

「じゃあ、まずニーナがやってごらん」
母親が言いました。

ニーナは無言でうなずき、呪文を唱えます。
「精霊たちよ、この馬の脚を癒やしたまえ。　ボルタレンロキソニンイタイノイタイノトンデヨケチンツウチンツウキズハイエテルショウエン！」

そして、馬に軽く触れます。

しかし、何も起きず、馬は痛そうな表情のままです。
長い呪文を、どこかで言い間違えたのです。

母親はため息をつき、カトレーヌに向かって言いました。
「じゃあ･･･カトレーヌちゃん、お願いね」

「はい、叔母さま」
カトレーヌはそう言って、ニーナと同じ呪文を唱えます。
しかも、正確に･･･。