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第6章 婚約と旅立ち

出発の前日･･･
ニーナの父親と母親は、ニーナに麻袋を渡しました。

その感触から、中にはお金が入っていることは明らかです。

「この中には３０ゴールドが入っています。　ニーナ、これを持って行きなさい」
母親はニーナに言いました。

３０ゴールド！

お金持ちにとってははした金かもしれませんが、ニーナの家にとっては大金です。

ニーナの母親は有能な巫女として有名ですが、ほとんど無償で人々を助けているのです。

「こんなお金、要らないわよ。　旅費はすべて、同行してくれる騎士団が支払ってくれることになってるから･･･」
ニーナは母親に言いました。

「万が一ってことがあるだろ。　それから、何のトラブルも無くて、このお金が余ったら、帰り道で都で使うんだ。　せっかく、華やかな都に行くんだからな。　都で遊ぶ金まで、騎士団に出してもらうわけにはいかんだろ」
父親はそう言って笑います。

「３０ゴールドなんか、大金すぎて、都で使い切れないわよ。　余ったら返すね」
ニーナはそう言いつつ、お金を受け取りました。

ありがたくて、目には涙が浮かびます。