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雪原に咲く椿
第1章 邂逅ーツナガリー
夢から覚めるように、誰かの声に引き戻される。そこにいたのは白馬に乗った王子様――ではなく騎士の青年。まるで月光を浴びたかのような髪色は、この白銀の世界でとても神秘的に映った。



「……月白隊長?いつ戻ってきたんですか?確か調査で一週間ほど不在だと聞いてましたけど」


青年は苦笑した。


「呼び戻されたんだよ。一週間予定だったけど、三日も早く切り上げてね。幸いそんなに遠くの調査じゃなかったから」



月白隊長――真面目で穏やか、そのうえ面倒見がいい。そんなところをみんなから慕われている。図書館へ通う道中あまりにも高い確率で出会ってしまうがために、多少世間話程度には話すようになった。いや、なってしまったと言うべきだろうか。


「大変ですね。隊長も」


対価が見合ったものなのか、時々心配になる。大きなお世話だとは思うが。


「こう見えて体力あるんだよ。――そうだ、これあげるよ」



あかい花びら。



――つばきの、花。


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