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不知夜月(いざよいづき)の夜に――
第1章 新月
降り出した雨が
灰色のアスファルトを黒く染めていく
『どうしようか…』
本屋に向かって歩き出した僕は
傘を持たずに
思い立つまま 部屋を飛び出してきた事を悔いた
目的地まで
走れば5分程で着くだろう
僕は本降りになることを予想して
引き返すべきか悩んだ
どうしても読みたい本が有る
少し位濡れても構わない
折角出掛けてきたのだから
このまま走って行こうか…
薄暗くなりかけた日曜日の夕方の事だった
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