パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第9章 9

家庭教師としての遼平も、申し分ないほど優秀であった。
智哉は勉強をしてるというよりパズルを解いているように、彼の指導を受けて設問を解いていた。
休憩のお茶を持ってきたというのに息子は振り返りもしないで机に向かっている。
その姿が可愛くて目を細めて見詰めた。
智哉の隣に座る遼平も口許を緩め、紫遠に視線を送ってくる。

「あっ、分かったっ！　ここにさっき教わった方程式を使うんだ！」
「そう。正解。けどそれはまだ半分の正解だ」
「えっ……」
「こういう問題は引っ掛けようとして作ってあるんだ。閃いた、と思って慌てて答えると間違えるようにね」
「えーっ!?　なんか性格悪いね」

智哉は口を尖らせて笑う。
人見知りの強い智哉だが、遼平のことは心から信頼しているのがよく分かる光景だった。
そのまま部屋を離れるのがなんだか惜しく、紫遠はテーブルにカップを置いて座った。