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あなたが教えてくれたこと
第1章 1
夫による可愛がりはその後も執拗に続けられ、二時間後に彼が射精することでようやく解放された。

生温い白濁は顔に放たれたが、手錠を掛けられたままの彼女は拭うことすら出来ない。

「そうだ、言い忘れていたが」

自分だけは身繕いを終えた正嗣が横たわる紫遠に伝えてくる。

「明日から新しい智哉(ともや)の家庭教師が来る。粗相のないようにな」
「はい。かしこまりました」

夫婦の会話というよりは主人と使用人くらいの隔たりがあった。
それが当たり前で暮らしている紫遠はそこになんの違和感も感じていない。
短い伝言を済ませると正嗣は妻の施錠を片側だけ解いて立ち去る。

もう片方は自分で開錠し、手首についた痕を撫でた。
息子の家庭教師は今年だけで三人目だった。
次の人は長続きしてくれればいいなと、そんなことをぼんやりと考えながら紫遠は剥ぎ散らかされた衣服を集めていた。


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