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女医の診察日誌
第1章 初診の患者
「太田さん、随分我慢したのですね、インキンです。この病
気の初期は太股の付け根のあたりが痒くなり、それを放置し
ていた為に、進行して陰嚢に来ているのです、治療には患部
に赤外線を照射して、その後塗り薬を塗りますので、これか
らしばらくの間、根気よく、週に一度通院してください」

「吉田さん、赤外線と塗り薬をお願いね」

「はい先生」

 看護師長の真由美から、両手で陰嚢の端を摘んで持ち上げ

ているように指示されて、その足元から赤外線を当てるため

の機器をセットされ、

「3分間軽く目を閉じて、この体勢で我慢してくださいね」

と告げられ、勇次はなんとも奇妙な格好でタイマーが切れる

のを待っていた。 やがて時間を知らせるチャイムが鳴ると、

真由美が入ってきた、

「ご苦労様でした、手を放して結構です、今から塗り薬を塗りますね」
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