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霞草
第10章 将来
あの後
僕は、兄と同じ大学に入った。
結局、医者以外の仕事でやりたいものもなかった。
ただ、人の身体は手術や薬で治ることもあるが、命は人の力ですべて助けられるわけではない。
人が人の命を消したり、灯したりできると考えるのはおこがましい。
人の命を金儲けの手段と考える父、兄には、ついていけない。
僕の家族の犠牲者になる人々への償いとでもいうべきか、僕は、ホスピタルケア、カウンセリングを仕事にした。
手術前後の患者さんとその家族、長期療養の必要な人々のストレスを少しでも和らげたい。
僕の診療スペースは、病院の隅に設けられる。
ちっとも稼がない奴と父、兄に罵られ、恥と言われても気にしない。
週に1、2日、予約が入った時に出勤する。