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霞草
第6章 二人の想い

団体客に食堂で夕飯を出す。

僕にとっては他の客を迎えるのは初めてだった。


おじさん、おばさんが調理場で料理し盛り付ける。それを僕と霞でテーブルに運び、空いた皿を下げる。


団体客はサイクリングのサークルで、長い距離を自転車で来たようだった。
酒を飲み、長旅の話に盛り上がっている。


先ほどから霞に絡み付くような視線を投げかけてひそひそと話している。


霞が食器を下げにいくと、一人が霞に声をかける。

「この辺のツーリングコース教えてよ。」

彼女は戸惑い黙り込む。


「つれないなぁ。後ろに乗っけるから、いいとこ連れてってよ。」

酒がまわり気が大きくなっているのか、その男は霞の手首を掴んでしつこく絡んでいる。

彼女は、

「サイクリングコースは良く分かりませんから」

と手を解こうとしている。

「可愛いなぁ。じゃあ俺が色々教えてあげるよ。」

男は彼女の手を引き自分の方へ近づける。

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